ende
ミヒャエル・エンデ
Michael Ende

 作家紹介の最初は終わり―ドイツ語でEndeエンデ―つまり第一回目はミヒャエル・エンデをとりあげます。

年譜

『モモ』や『はてしない物語』が有名なので「児童文学者」として知られているが、エンデ自身は「児童文学」というジャンル分けは無意味であるし、大人にとって読む価値のないものは子どもにとっても読む価値はない、と正当にも断じている。作品はオペラの台本、戯曲、決して子ども向けとはいえない小説、と多岐にわたり、また『モモ』の挿絵にも見られるように、絵画にも才能を示している。すべてに共通しているのは現代を批判する視線であり、その対象は産業革命以降のマテリアリズム(物質主義)である。共産主義も資本主義の一形態とみなされ、その考えはエコロジーにもつながってくる。彼には芸術家の使命がはっきり意識されているので、批判だけに終わらず、マテリアリズムとは対極にある創造性という、人間のみに与えられた力を基にした新しい人間のイメージを創り出そうとしているが、その一端はモモという少女に現れている。こうしたメッセージはすべての作品のなかではっきりと伝わってくる。著書以外に対談も多く、特に経済に関する独自の考え方は興味深い。

 

主な作品

『ジム・ボタンの機関車大旅行』Jim Knopf und Lukas der Lokomotivführer
  初めて出版された作品
『モモ』Momo
  あらゆるヨーロッパ語のみならず、日本語、中国語、韓国語、トルコ語など、非常に多くの言語に訳されている世界的ベストセラー。映画化もされた。
『はてしない物語』Die unendliche Geschichte
  映画化の際、結末が原作とまったく違うことからエンデが訴えたが敗訴。
『遺産相続ゲーム』Die Spielverderber
  戯曲。初演は酷評。以後商業演劇では上演されず。
『夢のボロ市』Trodelmarkt der Träume
  唯一の詩歌集。曲をつけたCDがあるらしい。
『ハーメルンの死の舞踏』Der Hamelner Totentanz
  民話「ハーメルンのネズミ捕り男」を題材にしたオペラ台本。
『鏡の中の鏡』Der Spiegel im Spiegel
  父エトガーにささげられているが、その絵のような不思議な物語。
『おとなしいきょうりゅうとうるさいちょう』Der Lindwurm und der Schmetterling
  楽譜つきの絵本。名前のもたらす重さと無意味さ。エンデという名も。

 

『モモ』のあらすじ
 大都会の町外れにある壊れかけた小さな円形劇場。そこに住み着いた女の子モモは、人々の話を聞く才能を持っている。モモに話を聞いてもらうと大人も子どもも元気で豊かな気持ちになれるのだ。一方町では「時間貯蓄銀行」の灰色の男たちが人々に時間の節約を呼びかけている。時間を貯蓄した人々が町にあふれ、みなせかせかと味気ない生活をし始める。モモは灰色男たちの敵とみなされてしまうが、不思議な亀カシオペイアに助けられてみんなの時間を取り戻し、町には再びゆったりと時が流れ出す。

 時間の花のイメージが美しく、読んだ後は、丁寧に生きよう、と思ってしまったのでした。

 

日本語では以下の書籍が入手できます。

『モモ ― 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語』
 ミヒャエル・エンデ 著、大島かおり 訳(1976年)
 ISBN4-001-10687-6

『はてしない物語』
 ミヒャエル・エンデ 著、上田真而子・佐藤真理子 訳(1982年)
 ISBN4-001-10981-6

『ジム・ボタンの機関車大旅行 ジム・ボタンの冒険(1)』
 ミヒャエル・エンデ 著、上田真而子 訳(1986年)
 ISBN4-001-10998-0

『鏡のなかの鏡―迷宮』
 ミヒャエル・エンデ 著、翻訳:丘沢静也(1985年)
 ISBN4-000-00307-0

父親であるエトガーを知る

『闇の考古学―画家エトガー・エンデを語る』
 ミヒャエル・エンデ、イェルク・クリッヒバウム 著、丘沢静也 訳(1988年)
 ISBN4-000-02307-1

以上、すべて岩波書店発行。ほかにも多数の作品があり、全集も刊行されている。

エンデの違った一面を見ることができる

『パン屋のお金とカジノのお金はどう違う?―ミヒャエル・エンデの夢見た経済・社会』
 広田裕之 著、子安美知子 監修(2001年) オーエス出版
 ISBN4-757-30087-5

原書で入手できるもの

書名:Momo
 出版社:Thienemann Verlag
 ISBN:3522177509

書名:Die unendliche Geschichte. Sonderausgabe
 出版社:Thienemann Verlag
 ISBN:3522176847

書名:Der Spiegel im Spiegel. Ein Labyrinth.
 出版社:Dtv
 ISBN:3423204826

 など

※洋書の入手方法については、以下のようなサイトを参考にしてください。
※丸善や紀伊国屋書店等では店頭で洋書を扱っているところもあります。
※インターネットで買う場合は、ドイツ語の原書だけでなく英語で書かれているもの、CDだけのものなどもありますので、十分注意して選びましょう。
※ISBNとはその本につけられた番号です。これがわかっていれば、すぐに本を探すことができます。

ゲーテ書房 http://www.goethebook.co.jp/
Amazon.co.jp http://www.amazon.co.jp/
ドイツのAmazon http://www.amazon.de/

 

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1929年 11月12日、ドイツのバイエルン州ガルミッシュで生まれる。父は画家エトガー・エンデ この頃からナチは急速に力を伸ばし、ミヒャエルが小学校に入学する頃エトガーは退廃芸術家の烙印を押され、生活は苦しくなった。
1941年 ギムナジウム一年で落第。
1945年 終戦間際に14歳の少年ミヒャエルにも召集令状が来るが、令状を破り、学童疎開先からミュンヒェンの母の元へ逃亡。このことについて自分の考えではなく両親の影響である、とエンデは強調している。その後近所に住むイエズス会の神父の依頼を引き受けて、ミュンヒェン自由運動という反ナチ運動を手伝い、終戦まで伝令として瓦礫のミュンヒェンを自転車で駆け回った。
1948年 戦後に転入したシュタイナー学校を卒業を前に退学、演劇学校に入学。
1950年 演劇学校卒業 1シーズンだけ舞台に立つが端役ばかり。
1951年 後に妻となる女優インゲボルク・ホフマンと知り合う。
1953年 父、息子とほぼ同年の女性と同棲、エンデは絶望した母を精神的、経済的に支える。
1961年 前年に出版された『ジム・ボタンの機関車大旅行』がドイツ児童文学賞をとり、ようやく生活が安定。
1964年 インゲボルク・ホフマンとローマで結婚。以後イタリアに住む。
1972年 『モモ』完成。
1977年 初訪日。能や歌舞伎を鑑賞。禅僧との対談で感銘を受ける。
1979年 『はてしない物語』完成。
1985年 妻急逝。イタリアからミュンヒェンに戻る。周囲にドイツ語を話す人がいなくなったため、自分のドイツ語に危機感を持ったのが帰国の理由。
1989年 エンデ父子展のため来日。佐藤真理子氏と結婚。
1995年 8月28日 永眠
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